フェニックス・シーガイア・リゾート
緑化管理部 部長
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児玉 輝彦
Akihiko Kodama -
同リゾート全体を包括する緑化管理部の責任者。芝の夏枯れ対策として茶畑用の防霜ファンをグリーンに転用する施策を考案し推進した。現在は黒松林を守るため、樹木医や行政と連携しながら防除対策の陣頭指揮を執る。
今回の語り手

フェニックス・シーガイア・リゾート
緑化管理部 部長
児玉 輝彦
Akihiko Kodama同リゾート全体を包括する緑化管理部の責任者。芝の夏枯れ対策として茶畑用の防霜ファンをグリーンに転用する施策を考案し推進した。現在は黒松林を守るため、樹木医や行政と連携しながら防除対策の陣頭指揮を執る。

フェニックスカントリークラブ
統括グリーンキーパー
久保 善裕
Yoshihiro Kubo東京出身。大学進学を機に宮崎へ移り、1993年、リゾート開業年に新卒で入社。以来30年以上にわたりコース管理に携わってきた「芝のプロ」。現在は約40名のスタッフを率い、2つのゴルフコースの維持管理を統括する。
全室オーシャンビューの高層ホテル、フェニックス・シーガイア・オーシャン・タワー。客室のカーテンを開けば、眼下には海岸沿いに広がる黒松林の深い緑と、ゴルフコースを覆う芝のライトグリーンが鮮やかなコントラストを織りなしています。
フェニックス・シーガイア・リゾートを日常と隔絶した特別な空間にしている要素が、この豊かな緑の景観です。
しかし、その維持管理は決して容易ではありません。宮崎の暑くて長い夏と、広大な敷地。そして何より、たとえ異常があっても自然は言葉では教えてくれないのです。季節を問わず訪れる者を魅了する景色は、現場のプロフェッショナルたちの注意深い観察と地道なケアの上に成り立っています。
まずは、日本屈指の名門ゴルフコースを預かる「芝のプロ」の現場から、知られざる裏側をご紹介します。
秋の陽光に映える、ゴルフコースの「ダイヤモンドカット」。斜めに交差する緻密な刈り込みが、一年で最も美しい景観を描き出します。
同リゾートには、毎年11月に世界のトッププロが集う「ダンロップフェニックストーナメント」の舞台となる「フェニックスカントリークラブ」と、よりカジュアルにプレーできる「トム・ワトソンゴルフコース」という2つのゴルフコースがあります。
最大の特徴は、秋口にコース全面に冬草の種をまくことで、真冬でも美しい天然の緑が広がる“エバーグリーン”を実現している点です。多大な手間を要するため、国内のゴルフコースではほとんど例がありません。
両コースの維持管理の責任者を務めるのが、統括グリーンキーパーの久保善裕。コース管理に従事して30年という大ベテランです。
「天候や気温の変化を読みながらコースを常に最高の状態に保つのが私たちの仕事。スタッフは総勢40名ほどおり、毎日芝を観察し、状況に合わせた肥料や薬の選定、刈り込む高さの調整などを行っています」
柔和な人柄の久保ですが、コース管理の話となると、その表情はおのずと引き締まります。
「私たちが1年間のゴールとして見据えるのが11月のトーナメントです。トッププロが集結し、全国にテレビ中継される……そのプレッシャーは相当なもの。無事に乗り切れますように、と祈りながら日々過ごしています。大会が終わった後は気が抜けるのか、1週間ほど体が動かなくなるほどです」
久保たちの計画的なメンテナンスにより、秋冬の間も美しい緑が広がるコースが実現します。
早朝、整備車両のメンテナンスを行うスタッフ。なかには高級車並みの価格のものもあるそう。コース整備は主に、プレーの妨げとならない早朝と夕方に行われます。毎朝6時頃から久保ら熟練のスタッフたちが広大なコースへと散ってパトロールを行い、わずかな傷みを見つけてはピンポイントで肥料や薬を投与していきます。
とりわけ繊細さを求められるのがグリーンです。ボールの滑らかな転がりを追求するため、あえて寒冷地向けの芝を採用していることが、管理の難易度をさらに引き上げています。
久保は言います。
「どんどん長くなっている夏を、どう乗り切るか。“夏越し”が最大の課題です」
暑さ対策として、各グリーンに扇風機を設置。また、吸収されやすい肥料を与えて植物の負担を和らげているほか、夏場は刈り込み時のわずかな傷からも雑菌が入りやすいため、機械や刃物の使い方にもミリ単位で神経を尖らせます。
「暑いと疲れやすくなるのは人間と同じ」という久保の言葉からも分かる通り、スタッフたちが芝に向けるのは、ひとりの人間を気遣うような細やかな眼差しです。全27ホールあるグリーンそれぞれの個性も把握しており、芝を見やりながら「ちょっと表情が変わったよね」などと言い合っているといいます。
もの言わぬ”彼ら”の状態を見抜くことは至難の業ですが、だからこそ、注いだ愛情に芝が応えてくれた瞬間の喜びはひとしおです。
「先代のキーパーに『我が子以上に手がかかるぞ』と言われました。確かにその通り。なかなか思い通りに育ってくれませんし、変化もすぐには表れません。それでも諦めずに世話を続けると数か月後、芝が青々としてくる。そんなときは人知れず『やった!』と喜びを感じます」
プレイヤーを魅了する美しい緑の絨毯は、言葉なき対話の結晶なのです。
芝を守っているのは、スタッフによるケアだけではありません。海岸沿いに広がる黒松の林も、潮風を防ぐ強固な「盾」です。
南北11km、幅1kmにわたり群生する松は、なんと100万本以上。約200年前、防潮・防風を目的に植林されました。
フェニックス・シーガイア・リゾートは、この地にゴルフ場が開場した1971年から続く、松林を大切な財産として守り抜く姿勢を現在も貫いています。1996年には、グループ全社員を対象とした厳格なルール「松憲法」を制定。「シーガイアの根本は、豊かな松の樹海にあり」という理念から始まり、「増改築配管埋設工事やゴルフ場の改造工事等においても、松の木、優先設計を行い、松を一切伐採しないこと」と明記されました。その精神は「シーガイア 黒松の森宣言」として今に受け継がれています。
シーガイアの緑化管理部部長を務める児玉輝彦は、次のように語ります。
「松は意外と手がかかります。適切な剪定を怠ると防風林としての機能が低下し、潮風などから芝を守りきれなくなる。リゾートの財産である松林を、これからも大事にしていきたい」
そんな児玉の想いとは裏腹に、現在の松林は、カミキリムシなどが媒介する「松枯れ」の脅威に直面しています。2023年頃から被害が急拡大し、フェニックスカントリークラブ周辺だけで毎年約1,000本の松が枯れています。現場スタッフは伐採や薬剤の樹幹注入などに追われていますが、広大な松林は住宅地や動物園、公有林・民有林などと複雑に接しているため、できる対策には制限があり、現場が手を尽くしても被害拡大を食い止められない、もどかしい現実があります。
一本一本を大切にしてきた松。被害拡大を防ぐために、枯れたものは伐採しなければならない。(写真はゴルフコース外)
やむなく伐採した松の切り株を前に、児玉は語ります。
「無念で、涙がこぼれそうな気持ちでいっぱいです。しかし、悔やんでばかりはいられません。今生きている松を守るために防除を行うこと、そして松の枯れたエリアの再生を、部門一丸となって行っていきたいと日々思っております」
松枯れに対する危機感を行政も共有しており、今年2月、宮崎市は3年間の緊急プロジェクト「THE GREEN PROTECT MIYAZAKI」を始動させました。行政が主体となることで、管理主体を横断したエリアへの薬剤散布や、放置されがちな私有地での枯れ松伐採が可能となり、より徹底した広域防除対策が本格化しています。
この動きに呼応したのが、同リゾートの運営を担うアイコニア・ホスピタリティです。宮崎県と宮崎市へ各1,500万円の企業版ふるさと納税(寄付)を実施。担当者は「美しい黒松林はシーガイアだけではなく、宮崎市や宮崎県が誇れる財産です。環境・眺望・防災の観点から、1本でも多くの松を未来に残せるよう全力で後押ししたいと思っています」と、寄付に込めた想いを語ります。
松枯れ問題に対し、行政と企業が連携し地域全体で立ち向かう体制が整いつつあります。
幾重にも重なる黒松の盾と、その内側で芝と対話する職人たちの執念。これらの集大成となるのが、11月に開催される「ダンロップフェニックストーナメント」の舞台です。
大会前後の期間はコースが最も美しい状態に仕上がるため、ゴルファーの方々にはぜひこの時期のプレーをお勧めします。また、トーナメント期間中はギャラリーとしてコース内を歩けるため、ゴルフをプレーしない方にとっても、この空間の魅力を体感できる絶好の機会です。
大切に守られてきた黒松林と、プロたちの誇りが息づく圧倒的な緑の景観を味わいに、フェニックス・シーガイア・リゾートへぜひ足をお運びください。
フェニックス・シーガイア・リゾートは、滞在の楽しみ方も進化を続けています。
この夏、「THE LIVING GARDEN」内に「スプラッシュエリア」がオープン。2種類のスライダーや九州初登場の水遊び遊具「バブルヒル」が加わり、ご家族でのアクティビティがさらに充実しました。
さらに、大人の夜の楽しみとしておすすめなのが、「トム・ワトソンゴルフコース」でのナイターゴルフです。ホテル到着後に涼しい夜風を感じながらハーフプレーを楽しみ、翌日はじっくり1ラウンドを回るといった、時間を贅沢に使ったゴルフ旅が叶います。